ハラミのある場所、ご存知ですか?
スーパーで買える鮭腹身は身近で、“腹身”という名前からお腹の身と想像がつきます。
牛ハラミのハラミも“腹身”と書くようです。牛ハラミの場所も鮭と同じお腹の場所と考えてよいのでしょうか?
豚や鶏はどうでしょう?豚や鶏にもハラミはあるのでしょうか?豚や鶏にもハラミがあるとしたら、その場所は牛ハラミと同じなのでしょうか?
1. 「ハラミ」と「腹身」
ハラミは漢字で“腹身”と書きます。
“ハラミ”という表記を見て頭に思い浮かぶのは?…牛ハラミ。
“腹身”という表記を見て頭に思い浮かぶのは?…鮭の腹身。
という人多いのではないでしょうか?同じ音なのに表記次第でこんなにもイメージがコントロールされてしまうとは改めて驚きです。
牛ハラミを“牛腹身”と表記しても、鮭の腹身を“鮭のハラミ”としても間違いではないはずなのですが、牛ハラミは“牛ハラミ”、鮭の腹身は“鮭の腹身”というのが一般的なように思います。
とはいえ、コンビニで売られている鮭の腹身のおにぎりは“ハラミ”や“はらみ”となっています。“腹身”という表記には、直に“腹の身”を連想して生々しさを感じてしまいます。“ハラミ”や“はらみ”とした方がおにぎりの商品名としてはいいのかもしれません。
2. 「ハラミ」の場所と「腹身」の場所
では・・・あなた自身の体で“ハラミ”と思う場所を指さしてください。と言われたら?…「???」となってしまいますが、あなた自身の体で“腹身”と思う場所を指さしてください。と言われたら?…迷わず脂肪でプヨッと膨らんだお腹を指さします。
牛ハラミも鮭の腹身も、その柔らかさと脂ののりが美味しさのポイントです。牛ハラミは柔らかな食感と程よい脂が特徴的で、鮭の腹身にもふんわりとした食感とジュワッと滴るほどの脂があります。
脂肪がつく場所は人も動物も魚も同じということでしょうか?
鮭の腹身の場所はというと肋骨周辺の身をさします。肋骨周辺というと、牛ではカルビになる場所です。脂がのったジューシーな味わいの腹身は“鮭のカルビ”と言ってもいいかもしれません。
鮭の腹身の場所は肋骨周辺。牛の肋骨周辺はカルビ。では、牛ハラミの場所は?
牛ハラミは、牛の横隔膜です。赤身の見た目からは意外ですが、牛のハラミは内臓の場所にあって内臓肉に分類されています。
3. 「豚ハラミ」と「えんがわ」
牛ハラミは焼肉屋さんで見たことも食べたこともありますが、豚ハラミというのは聞いたことがありません。豚ハラミもあるのでしょうか?
豚ハラミもありました。
鮭の腹身の場所は鮭の肋骨の周り。牛ハラミの場所は牛の横隔膜。では豚ハラミの場所は?…豚の横隔膜?
正解です。
豚ハラミも牛ハラミと同じく豚の横隔膜の筋肉です。豚ハラミも牛ハラミ同様、内臓肉ということになります。
豚ハラミは「えんがわ」と呼ばれることがあるようです。ということは、牛ハラミも「えんがわ」と呼ばれるのでしょうか?
牛にも「えんがわ」と呼ばれる場所がありました。けれど、牛の場合「ハラミ」と「えんがわ」はそれぞれ違う場所でした。
牛の「えんがわ」は牛のハラミの場所、つまり横隔膜の場所とは違って、トモバラの外側の赤身の場所を指すようです。
牛の「えんがわ」はタプタプとしたお腹の場所です。横隔膜よりも「ハラミ(腹身)」と呼ぶのにふさわしい場所のように思うのですが、そうではないのですね。
ちなみに鶏にも「えんがわ」と呼ばれる場所がありますが、鶏の場合には砂肝、つまり胃の外側の場所をさすようです。
お肉の名前とその場所は色々とややこしいのです。
4. 「鶏ハラミ」
牛にも豚にもハラミがあるなら当然・・・鶏にもハラミがありました。
牛ハラミは横隔膜の場所。豚ハラミも横隔膜の場所。では、鶏ハラミの場所は?…鶏の横隔膜?
不正解です。
驚いたのですが、鶏には横隔膜はないのだそうです。
鶏ハラミの場所は牛や豚と同じく横隔膜と言われることもあります。横隔膜らしきものはあっても横隔膜としての機能はないということで、鶏の横隔膜については学術的にも賛否あるようです。
鶏のハラミは厚さが5mm程度しかない最も薄い肉と言われていますが、お腹の中で内臓を覆っている腹壁の筋肉、つまり腹筋の場所にあたるそうです。腹筋ということであれば、鶏のハラミは内臓肉ではなく生肉に分類されるのかと思いましたが、鶏ハラミも内臓肉でした。
鶏ハラミは1羽から2枚、たったの10gしか採れない希少な部位だそうです。
5. ハラミが買える場所
鮭の腹身はスーパーでもお馴染みですが、お肉のハラミは牛でも豚でも鶏でもスーパーで売られているのを見たことがありません。家でハラミが食べたいと思うとき、ハラミが買える場所ってあるのでしょうか?
ハラミを扱っている専門店を探す必要があるようです。ネットで検索すると取り寄せてくれる精肉店もありますが、専門店にしても取り寄せをしてくれる精肉店にしても限られています。
近くに取り扱いのあるお店がない場合にはネット通販を利用するとよいかもしれません。ネットで販売されているハラミは焼肉用に加工されているものもあるので、手間なく焼くだけで食べられるのは便利です。
おわりに
鮭の腹身はその名の通り、鮭のお腹の身なのだろうと思って食べていましたが、焼肉屋さんの牛ハラミはそういう名前のメニューとして、その場所がどこなのかなどと気にしたことはありませんでした。
焼肉屋さんのメニューには色々な名前が並んでいます。それぞれが違う場所で、それぞれに細かく分けられているということ。それだけ味の違いへのこだわりがあるということになるでしょうか。牛のお肉ひとつとっても何だか奥深いのです。