「ぼんじり」は“鶏のトロ”と呼ばれるほど美味しい部位といわれ、特にやきとりで人気が高い部位です。
脂がのっていてプリプリと弾力があるぼんじりは、見るからに美味しそう。
でも…数年前のクリスマスに「いちばん美味しいとこ!なかなか食べられないよ!」と、ローストチキンのぼんじりをすすめられてかぶりついたら期待したのと違う味が口の中に…以来ぼんじりを避け続けています。
ぼんじりには正しい食べ方がありました。
1. 「ぼんじり」という部位
「ぼんじり」は鶏の尻尾にあたります。小さな尾骨の周りのわずかな部位です。希少な部位ということで、スーパーなどで見かけることはほとんどありません。
「ぼんじり」はその三角の形状から「さんかく」、鶏の尻尾であることから「テール」などとも呼ばれ、他にも「ぼんぼち」「ごんぼ」「ぼんちり」「ぼん」など様々な呼び名があるそうです。ちなみにクリスマスパーティーでぼんじりをすすめてくれた友人は「はな」と呼んでいました。
雄の尻尾の部位は「ぼんじり」、雌は「みさき」と呼んで雄と雌で区別する場合もあります。雌は卵を産むためにおしりの筋肉が発達しているため、みさきにはコリコリとした独特の食感とかみごたえがあるそうです。
2. ぼんじり部位の「油壺(オイルキャップ)」
ぼんじりは鶏の部位の中で脂ののりが最もよい部位といわれていますが、ぼんじりの中に「油壺」または「オイルキャップ」と呼ばれる部位が隠れています。
ぼんじりの中にある油壺は羽を水から守るための脂が分泌される器官です。
油壺の独特の香がぼんじりの風味になっているともいわれますが、臭みが強いため調理をする前にとり除くのが一般的です。
クリスマスの失敗がまさにこれでした。油壺が入ったままのぼんじりにそのままかぶりついてしまったがために、脂と臭みを直に感じて、二度と食べたいと思えなくなってしまったのです。
3. ぼんじり部位の下処理
好みによってぼんじりを下処理せずにそのまま食べる人もいるようですが、ぼんじりは下処理をしてから調理するのがおすすめです。
・ぼんじり部位から油壺をとる
ぼんじりのぷっくりと膨らみがある側を見ると細長い突起が出ています。
ぼんじりの膨らみがある側の皮を骨の横から突起のある方に向かって剥ぐように指で開くと、中からコロンとしたふたつの黄色い玉のようなものが出てきます。これが油壺です。
油壺は根もとから綺麗にとり除きます。このとき油壺の根もとあたりまで剥いだぼんじりの皮も切りとります。
開き方がうまくいかずに油壺が裂けてしまったり、一度にとりきれずにぼんじり側に残ってしまっても大丈夫です。油壺はぼんじりの身の色とは明らかに違う黄色をしています。黄色い部分が油壺なのでそれを全てとり除きます。
とり除いたぼんじりの油壺で鶏油(チーユ)を作り、炒飯や炒め物、ラーメンの隠し味などにするとコクが出て美味しいそうです。
・ぼんじり部位の骨をとる
ぼんじりの中央に骨があります。
ぼんじりの骨の長い側面に包丁の刃を沿わせて、前後に動かしながら丸い骨をなぞるように骨に沿ってぐるりと包丁を入れていきます。力を入れずに包丁の刃を前後に滑らせて引き切りするのがポイントです。
・ぼんじりの厚みを均一にする
骨を取った後のぼんじりは、骨を除いた部分が薄く、その左右は厚みがある形になっています。このまま調理しても何の問題もありませんが、火の通りを均等にするためにぼんじり全体の厚みを揃えます。
左右の厚みをそれぞれ半分にします。骨を外したところから左右の厚みの真ん中に、まな板に平行に包丁を途中まで入れて開きます。
4. ぼんじり部位のカロリー
鶏の部位を、やきとり1本あたりのカロリーが高い順にランキングしてみます。
1位 皮(30g) タレ:161kcal 塩:153kcal
2位 ぼんじり(30g) タレ:113kcal 塩:107kcal
3位 手羽(50g) タレ:113kcal 塩:105kcal
4位 もも(45g) タレ: 97kcal 塩: 89kcal
5位 つくね(45g) タレ: 91kcal 塩: 83kcal
6位 ねぎま(35g) タレ: 80kcal 塩: 72kcal
7位 はつ(30g) タレ: 72kcal 塩: 64kcal
8位 砂肝(35g) タレ: 42kcal 塩: 34kcal
9位 レバー(30g) タレ: 41kcal 塩: 33kcal
10位 軟骨(45g) タレ: 32kcal 塩: 24kcal
(参考:http://taspy.jp/17156)
ぼんじりのやきとりのカロリーは、皮のに次に高いということになります。
ぼんじりの100gあたりのカロリーは423kcalです。牛肩ロースが411kcal、豚バラが386kcalであるのと比較してもぼんじりのカロリーが高いことがわかります。
5. ぼんじり部位の栄養
ぼんじりには、丈夫な骨を作るのに欠かせないビタミンKが多く含まれています。
また、見るからにプリプリでコラーゲンたっぷりのぼんじりは、コラーゲンによる美肌効果が期待できるともいわれています。
脂ののったぼんじりはレモンとの相性がよいようで、焼いたぼんじりにレモン汁をかけるのはもちろん、輪切りのレモンがたっぷり入った「ぼんじりレモン鍋」という料理もあるほどです。逆にいえば、それくらいぼんじりは脂が豊富ということでもあるのかもしれません。
レモンに含まれるビタミンCはコラーゲンを安定させるために重要な栄養素といわれています。ぼんじりとレモンの組み合わせはぼんじりの味を引き立てるだけでなく、ぼんじりに含まれるコラーゲンの効果を高めるのにも有効といえそうです。
おわりに
「美味しそう!」と初めて食べたぼんじりには予想外の脂と臭みがあって、それ以来ずっとぼんじりを食べることができずにいました。これはぼんじりの油壺を食べてしまったからだったようです。
ぼんじりはしっかり焼くと、中がジュワッと外がカリッともちもち食感でとても美味しいのだそうです。コラーゲンがたっぷり摂れそうな「ぼんじりレモン鍋」も気になります。
ぼんじりの美味しさやコラーゲンはとても魅力的ですが、カロリーが高いので食べ過ぎには注意が必要ですね。