豚肉

三元豚はブランドじゃない?そもそも三元豚て何?

三元豚

レストランや定食屋さん、お惣菜屋さんでも「三元豚を使用しております。」なんて言われると、何か特別な豚肉が提供されているように感じませんか?

思わず、「やっぱり三元豚は美味しいねぇ〜。」なんてコメントを漏らしてしまいます。

これ、場合によってはちょっと恥ずかしいコメントかもしれません。

1. 「三元豚」はブランドじゃない?

「三元豚」というのは、食用に品種改良された3種類の純粋種を掛け合わせて生産された交配品種です。

日本ではもともと、異なる純粋種を掛け合わせて生まれた雑種の子どもにさらに別の純粋種を掛け合わせる三元交配が行われてきました。国内で生産される肉豚のほとんどがこの三元交配豚で、この三元交配豚を肉豚としたものが三元豚です。

つまり、三元豚という呼び名は耳に新しいものの、私たちがこれまでずっと日常に食している豚肉のほとんどが三元豚で、三元豚はブランド豚などではない、いたって普通の豚肉ということになります。

2. 食用に品種改良された純粋種なのに、わざわざ三元豚にするのはなぜ?

三元豚と言われると何か特別な豚のように思えますが、言ってみれば、雑種と純粋種から生まれた雑種です。雑種より純粋種のほうがなんとなく優れていそうなイメージがあるのですが、なぜ食用に品種改良されている純粋種をわざわざ雑種にする必要があるのでしょうか?

これには大きくふたつの理由があります。

ひとつは、雑種強勢効果を得るためです。雑種強勢というのは、異なる種類の品種または系統を掛け合わせたときに、両親のどちらよりも優れた子どもが生まれることを言います。より質の高い純粋種同士を掛け合わせれば、さらに質の高い豚肉を生産することができます。

ふたつめは、純粋種を連続的に交配した場合に生じる質のばらつきを避けるためです。親近交配でなくても、純粋種だけを交配し続けていると、交配を重ねる間に肉質にばらつきが出てしまいます。そのためわざと異なる品種同士を掛け合わせて三元豚にしているのです。

養豚では国内外問わず、三元交配するのが一般的といわれています。

3. 三元豚の生産のために交配されるのはどんな純粋種?

養豚における三元交配では、まずランドレース種のメスと大ヨークシャー種のメスを掛け合わせ、生まれたメスにデュロック種のオスを掛け合わせるのが主流です。この掛け合わせから生産された三元豚は、それぞれの純粋種の頭文字を合わせてLWDとも呼ばれます。

このLWDの掛け合わせが主流なのには理由があります。

ランドレース種(L)はデンマーク原産の白い大型種で、繁殖力に優れ発育が早いのが特徴です。

大ヨークシャー種(W)はイギリス原産の白い大型種で、ランドレース種同様発育が早く繁殖力に優れています。

デュロック種(D)はアメリカ原産の赤褐色の大型種で、発育が早く他の品種に比べて飼料の量が少なくて済むという経済性の高い品種です。肉質がよく霜降りになりやすいという特徴があります。

この3種が掛け合わされた三元豚(LWD)はそれぞれの特徴を合わせ持つ豚肉となるのですが、この3種の掛け合わせについては肉質もですが、どちらかというとその高い生産性、経済効率が好まれているようです。

4. LWD以外の交配品種は?

LWDの3種の他にも、それぞれに異なる特徴がある、中ヨークシャー種、ハンプシャー種、バークシャー種などといった欧米原産の豚が交配に使用されます。

中ヨークシャー種はイギリス原産の白色の小型種です。発育、繁殖力ともに劣るこの種は経済効率が悪いために生産が減少し、原産国であるイギリスでも原種がゼロになってしまったと言われる世界的にも大変希少な品種です。脂肪のうまみと香りが良く濃厚な味わいの柔らかな肉質です。

ハンプシャー種はアメリカ原産で黒色ですが、両前足と肩にかけて帯状の白斑があります。皮下脂肪が薄く赤身質で肉量が多く、高価な部位が多く取れるという特徴がありますが、加熱により崩れやすいため日本ではあまり人気がないそうです。

バークシャー種はイギリス原産の黒い豚で、六つの白斑があることから「六白斑」とも呼ばれます。日本では「黒豚」や「イベリコ豚」としてよく知られているのがこの種です。柔らかくて食味がよく、肉質が特に秀でています。

5. ブランド豚も普通の豚肉も三元豚。では、その違いは?

バークシャー種は純粋種が「黒豚」というブランド豚として生産されていますが、日本で生産されている300〜400ものブランド豚の多くは三元豚です。

普通の豚肉もブランド豚も三元豚。では、普通の豚肉とブランド豚の違いはどこにあるのでしょう?

三元豚のブランド豚はLWDの三元豚とそうでない三元豚のふたつに分けられます。

LWDでない三元豚がブランド豚になるというのは容易に理解できるでしょう。中ヨークシャー種やバークシャー種が交配に加えられていれば、当然のことながらその肉質は良くなります。

では、LWDの三元豚がブランド豚になるというのはどういうことなのでしょうか?

飼料や飼育環境などにこだわりをもって飼育された豚がブランド豚として認知されています。清潔でストレスフリーな環境や肉質をより良くするための飼料の内容など、生産者がそれぞれにこだわりをもって“おいしさ”を追求しているのがブランド豚です。

ブランドによっては飼料や飼育環境へのこだわりだけでなく、出荷の際の肉の状態などにも独自の基準を設けている場合があります。出荷時の豚の健康状態や大きさ、枝肉重量、背脂肪厚といった基準が設けられ、この基準に合格しなければそのブランド豚とは認定されません。

おわりに

私たちが日頃食べているほとんどの豚肉が三元豚です。三元豚にはブランド名のついたものとそうでないものとがありますが、どちらにも三元交配という工夫と手間がかけられています。

ブランド豚はもちろん格別に美味しいのですが、ブランド豚でないいわゆる普通の豚肉もとても美味しく食べています。三元豚はブランド名があろうとなかろうと、“美味しいね”と言って恥ずかしいことはないでしょう。


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